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システム開発で「こんなはずじゃ…」を
防ぐためのRFP(提案依頼書)超入門

「鳴り物入りで導入した新システム。でも、現場からは『使いにくい』の声ばかり…」 「開発が進むにつれて、見積もり金額が雪だるま式に膨れ上がってしまった…」 システム開発の現場では、残念ながらこのような「こんなはずじゃなかった…」という失敗談が後を絶ちません。 なぜ、このような悲劇が起こってしまうのでしょうか? その大きな原因の一つが、 発注側(あなた)と開発会社との「認識のズレ」 です。作りたいもののイメージがうまく共有できていないまま開発を進めてしまうと、完成してから「思っていたものと違う…」という事態に陥りがちです。 この“悲劇”を防ぎ、プロジェクトを成功に導くための最強の武器が、今回ご紹介する 「RFP(提案依頼書)」 なのです

システム開発で「こんなはずじゃ…」を防止するRFPって何?

鳴り物入りで導入した新システム。でも、現場からは『使いにくい』の声ばかり…」 「開発が進むにつれて、見積もり金額が雪だるま式に膨れ上がってしまった…」 システム開発の現場では、残念ながらこのような「こんなはずじゃなかった…」という失敗談が後を絶ちません。 なぜ、このような悲劇が起こってしまうのでしょうか?

その大きな原因の一つが、 発注側(あなた)と開発会社との「認識のズレ」 です。作りたいもののイメージがうまく共有できていないまま開発を進めてしまうと、完成してから「思っていたものと違う…」という事態に陥りがちです。 この“悲劇”を防ぎ、プロジェクトを成功に導くための最強の武器が、今回ご紹介する 「RFP(提案依頼書)」 なのです。 「RFPなんて、専門家が作る難しい書類でしょ?」 そう思った方もご安心ください。この記事では、専門用語を一切使わず、誰でも作れるRFPの書き方を分かりやすく解説します。

そもそも「RFP」って、なに? RFP(Request for Proposal)を難しく考える必要はありません。一言でいえば、「開発会社へのお願いごとリスト」 です。 「私たちは今、こんなことで困っていて、それを解決するために、こんな機能を持ったシステムを作ってほしいんです!」という想いを伝えるためのラブレターのようなもの、とイメージしてください。

RFPを用意すると、主に3つの良いことがある

RFPを用意すると、主に3つの良いことがあります。

精度の高い「提案」と「見積もり」がもらえる
同じお願いごとリスト(RFP)を渡すことで、複数の開発会社から同じ条件での提案を受けられます。各社の強みや費用感を比較検討しやすくなり、最適なパートナーを選べます。

自分たちの「やりたいこと」が整理される
RFPを書くプロセスは、自分たちが抱える課題や、システムで本当に実現したいことは何なのかを改めて見つめ直す良い機会になります。

開発中の「言った、言わない」トラブルを防げる
最初に書面で要望を伝えておくことで、後から「この機能も作ってくれると思っていた」「そんな話は聞いていない」といった水掛け論になるのを防げます。

まとめ:RFPは、未来のビジネスを成功させるための「設計図」

RFPを書くことは、面倒な作業に感じるかもしれません。しかし、それは単なる事務作業ではなく、自分たちのビジネスを見つめ直し、プロジェクトを成功へと導くための最も重要な投資です。

今回ご紹介した5つの項目を埋めるだけでも、開発会社とのコミュニケーションは劇的にスムーズになり、「こんなはずじゃ…」という失敗を未然に防ぐことができるはずです。

もし、「自分たちの課題をどう整理すればいいか分からない」「RFPの書き方を一緒に考えてほしい」という場合は、ぜひ専門家へ相談することをお勧めします。特に、要望を伝えるだけでなく、実際の開発経験やプロジェクトマネジメントを実践してきた「作る側の気持ちが分かる専門家」であれば、より心強いパートナーとなるでしょう。 課題整理の段階から貴社に寄り添い、プロジェクトの成功を力強くサポートしてくれるはずです。

完璧じゃなくてOK!最低限これだけは押さえたいRFPの5項目

「でも、何を書けばいいのか分からない…」という方のために、これさえ押さえれば大丈夫!という5つの項目に絞ってご紹介します。完璧な文章である必要はありません。箇条書きでもいいので、素直な言葉で書いてみましょう。

【項目1】なぜこのシステムが必要?(目的・背景)

一番大切な項目です。あなたが「なぜ」このシステムを作りたいのか、その背景にある想いや課題を伝えましょう。

(記入例)
現状の課題: 毎月末、全社員の交通費精算を手作業でExcelに入力しており、経理担当者2名が20時間以上残業している。入力ミスや確認漏れも頻発している。 システムで実現したいこと: スマホアプリから交通費を申請でき、上長が承認すれば自動で経理システムに連携されるようにして、手作業をゼロにしたい。 ポイント: ここが熱心に書かれていると、開発会社も「なんとか力になりたい!」と、より親身で良い提案をしてくれる可能性が高まります。

【項目2】システムで何がしたい?(要望する機能)

システムに搭載してほしい機能を、思いつくままに書き出してみましょう。

(記入例)
社員がログインできる機能 スマホでレシートを撮影して、金額を自動で読み取ってほしい ICカードをスマホにかざして、乗車履歴を読み込めるようにしたい 上長がスマホで承認・差し戻しできる機能 承認されたデータは、CSV形式で出力できるようにしたい ポイント: 「どう作るか(How)」はプロである開発会社に任せましょう。あなたは「何をしたいか(What)」を伝えることに集中するのがコツです。

【項目3】どれくらいの予算?(予算感)

言いにくいかもしれませんが、予算は非常に重要です。正直に伝えましょう。

(記入例)
150万円以内で実現したい。 まずは概算で、200万円~300万円の範囲でどのようなことが可能か提案がほしい。 ポイント: 予算を伝えないのは、お寿司屋さんで「時価」のネタばかり頼むようなもの。開発会社もどこまでの提案をすべきか分からず、お互いにとって時間の無駄になってしまいます。

【項目4】いつまでに欲しい?(希望納期)

そのシステムが「いつまでに」必要なのかを伝えましょう。

(記入例)
新年度が始まる来年4月1日から利用を開始したい。 なるべく早く欲しいが、スケジュールは相談可能。 ポイント: 無理な納期は、品質の低下やトラブルの原因になります。「〇〇という理由で、この日までに必要」と背景も伝えられると、より現実的なスケジュールを組みやすくなります。

【項目5】知っておいてほしいことは?(前提条件・制約)

その他、開発会社に知っておいてほしい情報があれば伝えておきましょう。

(記入例)
利用人数: 全社員150名が利用する。 利用環境: 社員は会社支給のiPhoneを利用。経理担当者はWindowsのPCで作業する。 担当者のITスキル: システム担当者はいるが、プログラミングなどの専門知識はない。 連携したいシステム: 現在利用している「〇〇会計ソフト」にデータを取り込めるようにしたい。 ポイント: 後から「実は…」とならないように、前提となる条件は最初に伝えておくのが鉄則です。